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銅像の撤去

銅像は無断で設置したり、いろいろな状況によって撤去を求められてしまうことがあります。せっかく設置した銅像を撤去しなければならないのは辛いこと。

こちらでは、銅像の撤去を求められる理由や、事例について解説しています。こちらの情報をもとに、問題ない銅像の設置を行いましょう。

銅像の撤去を求められる理由

歴史が変わったことによる銅像撤去

例えば、これまではある歴史上の「A」という人物の銅像が設置されていたとします。しかし長い月日が経つ間に政権が変わり、Aがこれまで支持されていたことが支持されなくなってしまった場合、Aを崇拝する理由がなくなったことから銅像を撤去するケースは多いです。

こうした理由での銅像撤去は、世界中で行われており、撤去のし過ぎが問題視されているところもあるようです。

設置に不快感を持つ人が撤去を求める

悲しいことですが、ある種の嫌がらせ目的で銅像を設置する人がいます。自分たちが辛い思いをしたという意思表示のために、その事柄を表す銅像をつくり、辛い思いをさせた人の職場や家の前に設置するのです。

この場合当然設置された側は撤去を求めます。設置した側が速やかに撤去を行う場合もあれば、撤去を拒否したために強制撤去を行わざるを得ないケースもあります。

撤去を求められた銅像の例

奴隷制度を支えた歴史的人物の銅像を撤去

アメリカでは、奴隷制度を支えたとされる歴史的人物の銅像を相次いで撤去しています。コロンブスやガンジーといった銅像の撤去を相次いで行っているほか、バージニア州では南軍司令官だったロバート・E・リー将軍の銅像を撤去することが正式に発表されました。

銅像は、その人を崇拝している印象を強く与えるため、撤去に踏み切ることも理解できますが、では今後、忘れてはいけない植民地政策や奴隷制度の歴史を、どのように伝えていくべきなのかが大きな課題となっています。

韓国慰安婦像の撤去問題

韓国では、日本への抗議アピールのひとつとして「慰安婦像」を多数設置しています。韓国には160体もの慰安婦像が設置されているといわれており、中には日本大使館の前に設置されているものもあります。

慰安婦像は韓国だけでなく世界中に設置されていて、ドイツに設置された慰安婦像においては、日本の総理大臣が撤去を要請中です。慰安婦像の撤去事例については、香港に設置されていた慰安婦像が、設置許可が下りていないという理由で撤去された事例があります。

イラク戦争によるフセイン像の撤去

イラク戦争でイラクのバグダットがアメリカ軍に制圧されたことを受けて、フセイン大統領の像がアメリカ軍の装甲車によって引き倒されました。この様子は世界中のテレビで繰り返し放送されたため、その様子を見た記憶がある人も多いでしょう。

フセイン大統領像の撤去は、アメリカ軍による「仕込み」だと解釈する専門家もいましたが、その後ジャーナリストが調査した結果によると、自発的に集まった人々が行ったことがわかっています。

フセイン像が撤去された後、イラクの若い芸術家たちが同じ場所に「自由と希望の像」を設置しましたが、そちらも後に撤去されました。