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銅像製作において、一番最初に取り掛かる手順が原型製作です。銅像製作の原型には、どのような種類があるのでしょうか?このページには、銅像製作の原型の種類や種類ごとの製作の流れについて解説しています。
銅像における原型とは、鋳型を造る際に元となる模型のことを指し、原型製作は銅像を造る上で非常に重要になる点です。そのため、寸法に応じて正確な模型を造る必要があります。原型には木材で作られる木型や蝋で作られた蝋型、金属で造る金型や3Dデータで作られる原型など、さまざまな材質のものがあります。
ここでは、木型や粘土、3Dデータで原型を作成する流れについて説明します。
原型の製作において、原型師に依頼するか彫刻家に依頼するかどちらか選択することができます。原型師に依頼する場合、専門的な肖像の技術を保有していることから、対象者・対象物により近い原型を造ることができます。一定のレベルの製作技術を保有していないと原型師にはなれないことから技術力があり、費用面でも比較的安価に作成できるといったメリットがあります。
彫刻家に依頼する場合は、芸術的な表現が盛り込まれ、人体の充実や躍動などを絶えず検討されることから、対象者に似せるだけでなく内面性を引き出して具現化することに長けています。しかし、彫刻家によって独自性の強い作風を持っており、肖像製作に向かない人もいることから、要望を実現してくれる作家に出会うのが困難といったデメリットがあります。
このように、双方にメリットやデメリットがありますので、自分の要望に沿った方を選ぶようにしましょう。
木型は材料費が比較的安価であることから、鋳造の原型としてよく使用されています。また丈夫であり、修正が容易といったメリットもあることから、時間をかけすぎずに製品の改良にも柔軟に対応できる型を造ることができます。現在では、樹脂を使用した合成木材やFRPなどの特殊な材料を使い、NCマシンという機械を用いて手早く精密に形状を削って作られたものも木型と呼ばれています。
鋳造の流れとして、鋳造用の特殊な砂を使用して木型から形を取ります。次に、木型から取った砂型を組み合わせ、溶かした銅を流し込みます。そして、砂型を壊して中身を取り出し、銅像の表面に付着した砂やバリをキレイに取ります。この銅像に加工などを加えて、銅像が完成します。
金属の鋳造物は、多くのものが粘土から原型を作ります。粘土で原型を製作することにより、写実力をより発揮することができます。粘土の原型では、銅像の大きさや形にもよりますが、木材やスチロールなどを用いて芯を作ります。
その作られた芯に粘土を付けていき、形を整えていきます。この段階で最後の細かい調整をおこないます。粘土型が完成すると、後述する石膏で更に型を作っていきます。
新しい原型作成の方法として、3Dデータで原型を造る方法があります。CADなどを用いて、パソコン上でまず3Dデータを設計・作成します。立体的に確認しながら打ち合わせすることができるので、理想に沿った原型を造ることが可能です。
また、3Dデータを3Dプリンターなどで原型を作り、それを用いてシリコンの型を作成します。データを直接出力しますので、より精密に原型を再現することが可能です。シリコン型を作った後は、そこにワックスを流し込んで、これを原型として鋳造を開始します。鋳造の際には、後述する石膏を用いて作成します。
原型を作ったあとは、その原型を基に石膏に置き換えます。石膏で原型を覆うように固めてオス型とメス型を作り、中の原型を抜き取ります。更に、鋳物砂という砂を用いて鋳型を作成します。石膏型まで進むと粘土型の時のように形の修正はできなくなるため、石膏型の作成に移る前段階の粘土型時点で、形の修正は終えておくことが望ましいでしょう。
こうしてできた鋳型に、銅を流し込んでいく形になります。イメージとしては、たい焼きのような製造方法です。流し込んだ銅が冷え固まった頃に、砂でできた鋳型を外します。
砂でできた鋳型を外した後は、バリや石膏のあとが残っている場合があります。これらを取り除き、表面の加工や着色をおこないます。このように、さまざまな原型の種類があります。
原型によっても良さやメリットが異なりますし、原型師か彫刻家どちらに依頼するかによっても得意としている原型が違います。そのため、それぞれのメリットを加味しながら依頼する人や原型の製作方法を検討するようにしましょう。
※2…2021年7月時点で公式サイトに掲載されていた情報(等身大69cmの胸像の価格)
※3…2021年7月時点の電話調査による情報
※4…2021年7月の電話調査による情報
※5…2021年7月の電話調査による情報(料金は等身大70cmの胸像の価格)