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銅像とブロンズ像はどちらも銅で出来ていますが、これらの像に違いはあるのでしょうか?このページでは、銅像とブロンズ像の違いについて紹介しています。銅像・ブロンズ像を分ける考え方や分けない考え方も記載していますので、ぜひ参考にしてください。
銅像とブロンズ像を分ける考え方としては、名称の由来によってそれぞれを区分する方法がありますが、一般的に双方の違いはなく、どちらも同じものを指す言葉と言えます。
銅像は、歴史上の人物や偉業を成し遂げた人物などを形にして残したものを指し、先人の功績を称えることを目的として製造される像のことです。その他にも、動物などを模して作られた像も銅像に該当します。銅像は純銅で作られたものを指しますが、青銅と合金で作られているものが広く流通しています。
銅100%で作られた像は存在せず、多くの像は銅を主体として、錫などを混ぜて作られた合金で出来ています。そのため、銅像と呼ばれるものはブロンズで出来ており、そのことから銅像とブロンズ像と同じとされています。
一般的にブロンズ像は合金で作られており、銅100%のものを銅像とされているものの、日本ではブロンズ(合金)で作られているものでも銅像と呼ぶ傾向があります。そのため、銅像とブロンズ像はどちらも同じものを指すという考え方があります。
英語が普及して西洋文化が日本に入って来た頃に、金属の像がブロンズスタチューと呼ばれていました。その事から、ブロンズという響きの良さと像と掛け合わせてブロンズ像と呼ばれたのが語源とされています。
銅100%で作られていない像は合金で作られているものがほとんどであり、合金=ブロンズということから外国では合金で出来ている像がブロンズ像、という解釈になります。ですが、日本ではややこしいことに合金で出来ている像でも「銅像」と読んでいます。そのため、現在ではブロンズ像と銅像は同じと捉える考え方があります。
ブロンズ像にはさまざまな色合いがありますが、この色の違いによって銅像かブロンズ像か分かれるのでしょうか?実は、これも違います。
青銅色や赤銅色などさまざまな色がありますが、銅像やブロンズ像の色の違いは、銅と混合している物質量の違いによって変化します。一般的に、銅が80%に対して錫や亜鉛などの物質が15%混合していると言われています。例として、銅と錫を混合する場合、錫が多ければ多いほど黄金色に近くなり、一定量を越えた場合に白銀色に変化します。
その他に、季節や気温・焼き加減や完成後の銅の酸化・鋳造後のコーティングなどによっても変化するため、色の違いから銅像かブロンズ像かを区別するというわけでもありません。
青銅よりも硬い鉄は、剣や砲などの武器などに多く使われましたが、錆びやすいことが欠点でした。そのことから、長期にわたり鑑賞・保存しておきたい芸術品には使用されていません。このように、合金(ブロンズ)の耐久性能は非常に高く劣化もしにくいことから、斧や剣などの道具や、壺などの保存用容器、武器などに使用され、今現在でも古代からの鋳造物が多く残されています。
鋳造技術や彫刻技術が進歩した現在では、鉄よりも柔らかく彫刻に適しており耐久性に優れた銅に、屋外に設置される銅像としてその技術が活かされています。
日本でのブロンズ像のはじまりは、中国大陸から持ち込まれたものが最古だと考えられています。紀元前3世紀ごろからブロンズ(青銅)で作られた鏡や剣などが朝鮮半島を経由して伝来し、その後九州から日本全域に広まっていきました。紀元前1世紀には国内での生産も開始され、九州の国内鋳造遺跡から型枠が発掘されるなど鋳造の跡が残されています。
ブロンズ像の鋳造技術・彫刻技術は中国や朝鮮からの渡来人から伝わりましたが、鉄の鋳造技術も並行して導入していたのが特徴です。1世紀末になると、古墳から出土する銅鐸などのブロンズ製品の製造技術は、東アジアにおいても高い水準に発達しました。当時は信仰の道具や祭祀に使用されるものが多く、7世紀ごろに作られた奈良の大仏はおなじみの銅像と言えるでしょう。奈良の大仏は世界的にも大型のブロンズ像と言われ、日本が誇れるブロンズ像となりました。
戦国時代以降は大砲や火縄銃などの武器に鋳造技術が応用されるようになり、現在では安定的な鋳造技術と精巧な彫刻技術を活かし、ブロンズ像としてその技術が残されています。
※2…2021年7月時点で公式サイトに掲載されていた情報(等身大69cmの胸像の価格)
※3…2021年7月時点の電話調査による情報
※4…2021年7月の電話調査による情報
※5…2021年7月の電話調査による情報(料金は等身大70cmの胸像の価格)