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銅像のメンテナンス方法

銅像が完成したあと、美しい状態を保ちながら経年変化を楽しむには、定期的なメンテナンスが必要です。このページでは、銅像のメンテナンスの必要性、お手入れ方法や頻度、注意点などを紹介します。

銅像のメンテナンスは必要?

銅像を屋外に設置していると、チリやほこりだけでなく、雨だれの跡や鳥の糞などで汚れてしまいます。そのため、定期的にメンテナンスすることが必要です。チリやほこりは、毛ハタキなどで軽く落とします。1ヶ月に1回程度やると汚れが付着しにくいでしょう。

半年から1年に1回は、全体を水洗いします。凹部分には歯ブラシ、汚れがひどい部分にはたわしを使うことがオススメ。しっかり乾かしたらワックスでコーティングします。

メンテナンスをせず放置するとどうなる?

銅像の材料には、主にブロンズが使われることが一般的です。ブロンズには頑丈というイメージがあるからか、建立したあとのメンテナンスの必要性を認識されていない方もいらっしゃいます。何らかの目的を持って銅像を建立するため、お手入れのことまで気にかける方は少ないのかもしれません。しかし、特に屋外設置の銅像を定期的にメンテナンスせず放置しておくと、劣化が進み、激しい変色や腐食が起きてしまうことがあります。

鳥の糞が付いてもそのままにしていたら、シミになってしまうこともあるのです。酸性雨も劣化の原因になり、雨だれを付着したまま放っておくとヒビ割れや穴が空いてしまうことも考えられます。樹木の肥料や農薬などの噴霧が銅像にかかってしまう場所では、表面が腐食する可能性も。定期的にメンテナンスをせずに、こうした汚れを一度に落とそうとしても、汚れが落ちにくく、腐食も進んでいて元の美しさに修復することが難しくなってしまいます。

経年変化と汚れによる変化は異なるもの

屋外設置の銅像は雨風などにさらされるので、経年変化を避けることはできません。ただし、定期的なメンテナンスを続けると、ムラがなく表面の色が変化していきます。銅は酸化すると青緑色の錆である「緑青(ろくしょう)」を生成するので、銅像の表面が深緑色に変わって味わいが出てきます。定期的なメンテナンスによって、銅像のエイジングを楽しむことができるでしょう。

一方で、定期的にメンテナンスをしない状態で銅像の色が変化すると、汚れが付着している箇所や腐食している部分があるため、ムラが出てしまいます。劣化が酷いと、顔や形が崩れてしまうことも。ブロンズの魅力でもある経年変化を楽しむためには、定期的なメンテナンスが大切です。

銅像のメンテナンス方法

水で洗う

銅像全体に水をかけて、固く絞ったタオルで水拭きします。雨だれの跡や鳥の糞などの汚れは、たわしやナイロンブラシなどを使ってしっかり洗います。細い溝などには、歯ブラシを使うとよいでしょう。水洗いしたあとは、乾いたやわらかい布で水気を拭き取ります。水分が残るとザビの原因になるので、しっかり乾燥させましょう。

ワックスで磨く

銅像を水で洗い乾燥させたら、ワックスで磨きます。満遍なくツヤを出すため、ワックスを布に染み込ませたら塗りムラがないよう薄くのばすとよいでしょう。手が荒れないよう、素手ではなくゴム手袋などを着用して作業することがオススメです。

ワックスには、市販されている床用ワックスやカーワックス、各種のコーティング材(被膜材)などを使用してください。

乾拭きする

銅像をワックスで磨いたら、乾いたやわらかい布で乾拭きして仕上げます。凹部分にワックスの塊が残っていないか確認して、もし残っていたら取り除くと、より綺麗に仕上がるでしょう。

銅像のメンテナンス時の注意点

表面を傷つけないように磨こう

銅像をメンテナンスするときには、表面を傷つけないことが大切です。水洗いのときには、金属ブラシやワイヤーブラシ、スチールウールなどは使用しないでください。ワックスで磨くときにも、研磨剤(コンパウンド)が入っていないものを使用するとよいでしょう。水洗いや乾拭きのときに使用する布は、手ぬぐいなど硬い布ではなく、タオルや古着などやわらかい布を使って表面を傷つけないようにしてください。

腐食が激しいときは専門業者に相談

変色や腐食の状態が激しいときには、自分で修復することは難しくなります。専門知識がないまま修復しようとすると、かえって状態を悪化させる可能性も。銅像修復の専門業者であれば、ヒビ割れや穴に肉盛り・溶接などを行ったり、色ムラに対して色直しを行ったりすることができます。銅像の状態によって修復方法が変わりますので、専門業者に相談してみるとよいでしょう。

日々のメンテナンスで銅像を後世まで残し続けるために

定期的にメンテナンスをすることで、銅像を建立した意味や人物の偉業などを後世まで伝え続けることができます。自分でお手入れすることが難しいと感じたら、銅像の製作を依頼した会社にメンテナンスや修復を任せられるか確認してみましょう。