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銅像にかかる税金

会社や企業などで、記念に銅像を建てることになった場合、念頭に置いて欲しいのが税金のことです。あとから多額な税金が発生することも、その逆に活用すれば税金対策になることもあります。ここでは、銅像にかかる税金についてお話したいと思います。

銅像には固定資産税がかかる

銅像の制作・設置には固定資産税がかかります。
たとえ記念のために作ったものであっても、会社・企業が保有していれば、それは基本的に事業用の資産に数えられ、固定資産税の対象となるのです。

固定資産税には土地や家屋が該当しますが、銅像などの構築物も償却資産に数えられ、償却資産税の対象となります。

しかし、銅像に税がかかると知られていない場合も多く、あとあとトラブルになるケースも……。

償却資産税についてきちんと理解しておくことで、納税時にあわてたり、のちのち問題が発生するのを防ぐことができます。

銅像に課せられる税金に関してもしっかりと確認しておきましょう。

参照元:須田裕行税理士事務所(http://www.sudatax.net/quiz/固定資産税/quiz_528.html
参照元:This is media(https://media.thisisgallery.com/20208335

固定資産税(償却資産税)とは

固定資産税は、その名の通り固定資産にかかる地方税の意味で、地方公共団体に納めることになっています。
この固定資産の中にはさまざまなものが含まれます。土地・家屋、そして償却資産です。
固定資産税のうち、償却資産に課せられる税は、別途、償却資産税と呼ばれます。
毎年1月1日、個人・法人を問わず、所有している償却資産についての申告を行わなければなりません。

償却資産税の対象となるもの

●構築物

土地や家屋以外の構築物は償却資産税の対象となります。例えば路面舗装・門・塀・看板など。
銅像は、この構築物に該当します。

●機械・装置

機械式駐車設備などは償却資産税の対象です。

●船舶

釣り船・漁船・遊覧船・ボートには償却資産税償却資産税の対象かかかります。

●航空機

飛行機・ヘリコプター・グライダーなどは償却資産税の対象です。

●工具・器具などの備品

工具や器具を始めとした備品は、償却資産税の対象として数えられています。

●パソコン・理美容機器等など

パソコンと理容美容に関する機器は、償却資産税の対象です。

●車両・運搬具

大型特殊自動車なども対象に含まれますが、自動車税・軽自動車税の対象となる車両は償却資産税の対象外です。

償却資産税の対象にならないもの

次のような資産は償却資産税の課税や申告の対象から除かれています、

●無形固定資産

アプリケーションソフトウェア、特許権、実用新案権など、形のないものは償却資産の対象外です。

●土地・建物など別の固定資産税の対象

土地・建物は固定資産税の対象ではありますが、償却資産税には含まれません。

●自動車税・軽自動車税の課税対象

自動車税・軽自動車税の課税対象となっているものは、償却資産の対象に含まれません。

銅像は減価償却の対象

銅を原料として製造される銅像は、減価償却資産に該当しています。
素材が金や白金などの貴金属ではないこと、時が経てば劣化し、価値が少しずつ失われていくことが対象となるポイントです。

銅像が減価償却資産として扱われるのは、価格が30万円~100万円未満の場合。しかし、たとえ銅像の値段が100万円以上の場合であっても、時の経過によっての価値が減少すると明らかであれば、減価償却資産に数えられるのです。

減価償却とは

償却資産の中には、時が経つと古くなったり、使い続けているうちに劣化して、価値が減っていくものがあります。

こうした資産については、その失った分の価値を費用として計上することができ、これを「減価償却」と呼びます。

減価償却の会計処理では、固定資産の購入費用を、使用可能な期間にわたり、分割して計上することができます。

減価償却が可能な資産

減価償却が可能な資産は、基本的に使用可能な期間が1年以上で、取得価額が10万円以上の固定資産となっています。
土地・借用権などは、そもそも減価償却の対象には含まれません。
具体的な例は次の通りです。

●有形固定資産

建物・工場・設備・工具・備品など。銅像はここに該当します。

●無形固定資産

アプリケーションソフトウエア・特許・商標権・意匠権など。生物:家畜・樹木など。

美術品や骨董品も減価償却に含まれる

2015年に税制改定が行われ、現在は100万円未満である美術品などに対し、減価償却資産の対象に数えられるようになりました。

また、100万円以上の場合も、時の経過によって価値が減少するのであれば減価償却資産として取り扱われます。

ただし、これは2015年1月1日以降に購入された美術品などを対象とするもので、それ以前のものに対しては適応されません。

金・銀・白金(プラチナ)・パラジウム・ロジウム・イリジウム・ルテニウム・オスミウムなどの貴金属は、減価償却に含まれませんが、含有量によっては減価償却に数えられることもあります。

銅や鉄は、貴金属には数えられていません。

銅像と税金に関する事例

銅像と税金に関する事例として、ここでは人気漫画のキャラクターを模した銅像に関して起こった問題を解説します。

「サザエさん」像

一度は固定資産税の対象に

東京都世田谷区に、人気漫画『サザエさん』の銅像が設置されたのは2012年。

2015年に税制改定が行われる前のことでした。

これは、『サザエさん』の生誕65年を祝い、作者の作品を展示した長谷川町子美術館との信頼関係、商店街の振興を目指したものでした。

サザエさん一家の銅像は合計12体、東急桜新町駅の周辺に設置されたと言います。

設置したのは、桜新町商店街振興組合です。

こうして除幕式なども無事に終え、商店街に新たな名所が生まれたのはいいのですが……。

その翌年の6月、東京都から、固定資産税として約60万円の納付を求めよう、組合に通知が届いたのです。

組合はそのうち、約15万円を支払うこととなりました。

公共性が認められて残額は免除

2013年10月、東京都から組合へと新たな通知が届きました。そこには、修正された納税額が記載され、当初の60万円の残額は免除となったことがわかったのです。

この事例のポイントは、公共性。

例えば、似たようなほかの銅像は、自治体などが所有しているため、そもそも非課税です。

葛飾区の『こち亀』の両さんなどの銅像。同じく葛飾区の『男はつらいよ』の寅さんや、『キャプテン翼』の翼くんの銅像も全て非課税。

『サザエさん』像の場合は、国や自治体などの非課税団体ではなく、商店街の組合が所有しており、事業振興や宣伝を目的とした構築物に該当するとみなされて課税対象になりました。

このように、一旦は課税されるかに思われた銅像でも、公共性が認められるなど、ちょっとした手続きで税金を免除されることもあるのです。

参照元:阿久津公一税理士事務所(http://www.akutsuzeimu.jp/2013/07/pr.html
参照元:飯田真之税理士事務所(http://iida-cpta.com/archives/755